入社以来、二輪車のガソリンエンジンの設計に奮闘しています。バイクのエンジンなんて技術的には成熟していると思われるかもしれませんが、実はまだまだ進化の余地が大いにある。内燃機関の熱効率を向上させれば、電気を使った動力よりも環境負荷が低いエンジンを実現することも物理的に可能。そんな次元を目指して、Hondaの次なるエンジンの開発に取り組んでいます。
設計担当は、エンジン開発に関わるさまざまな部署の意向を取りまとめて、量産に向けての図面を作り上げていくポジションです。開発の過程では、たとえば解析チームやテストチームのエンジニアの方々と、それぞれの立場から「いいエンジンを創りたい」という想いがぶつかって意見が対立することも。何度も議論を重ねて最適解を見つけ出し、それを図面に反映させて社内で最終承認を得た時は、本当に大きな達成感がありますね。
Hondaは若手にも大胆にチャンスを与えてくれる会社です。私も入社4年目、大型プレミアムバイクの“Gold Wing”のエンジン改良にあたって、その設計責任者を任されることに。EUの環境規制強化に対応し、エンジン内の「失火」と呼ばれる現象を抑制し、かつ失火発生時には検知できることがミッションでしたが、未知の問題に次々と直面して開発は難航。それでも周りの知恵を集めて何とかエンジンを完成させることができ、あの経験は私を非常に成長させてくれたように思います。
これから二輪車の世界もEV化が進んでいくと思います。しかし、私はエンジンにこだわりたい。
音や振動など五感を使ってバイクの運転を楽しめるのは、
やはりエンジンならではの醍醐味ですし、そこにはHondaの叡智が詰まっている。
それを継承しつつ、環境に優しい最高効率のエンジンを追求するとともに、
エンジンだからこそ味わえる二輪車の魅力を後世に向けて伝えていきたいですね。
二輪車のエンジン開発の現場には、脈々と受け継がれるHondaの風土が残っています。何か問題が起これば、関係者が集まって熱く議論し、泥臭く、がむしゃらに取り組んでいく。そこには若手もベテランも関係ない。そして終わってみればどんな問題も結果的に乗り越えていて、それはHondaの強さだと思いますね。
もともとバイクが好きで、独身時代はよくツーリングに出かけたり、草レースなどにも出場していました。結婚して子供ができてからは、休日は家族みんなで公園で遊ぶなど、もっぱら“パパ”をやっています。彼女が大きくなった時、バイクで一緒に出かけられたらいいなって思いますね。
Hondaは二輪車においても世界のトップメーカーです。そのエンジン開発を担う私たちは、
「世界一」のエンジンを作っているんだという大きなプライドがある。
何をやるにしてもナンバーワンでなければならないという気概にあふれていて、
そうした志の高い技術者の方々と一緒に仕事ができるのはとても刺激的です。
学生時代の専攻は機械工学。エンジンの研究に取り組む一方、課外活動で「学生フォーミュラ」という自作レーシングカーの競技会にも熱中していました。本番当日、トラブルに見舞われながらも必死で対応し、何とか完走して入賞できた時は本当に嬉しかったですね。
バイクが好きで、就職にあたってもバイクの開発がしたいと思いHondaが第一志望でした。もっとHondaのことが知りたいと二輪開発のインターンシップに参加し、開発の現場を体験したところ、学生の私の意見も「面白いアイデアだね」と尊重してくれて、本当に風通しのいい会社だと実感。ぜひここで働きたいと入社を決意しました。
これからみなさんが選ぶ仕事というのは、自分の人生の多くを費やすことになります。
ですから、「なぜこの仕事がしたいのか?」ということを繰り返し自問自答して、決して後悔しない道を選んでほしい。
いま真剣に考えて選ぶことが、これからのみなさんの人生をきっと豊かにしてくれると思います。
※取材内容、および登場する社員の所属は取材当時のものです。