製品全体にかかわれる
二輪開発の楽しさを実感
そして今、商品開発のリーダーを担い、
より広い世界へ
製品全体にかかわれる
二輪開発の楽しさを実感
そして今、商品開発のリーダーを担い、
より広い世界へ
2001年入社
KIHOKO KAITA
本田技研工業(株) ものづくりセンター
理工学部 工業化学科 卒業
※所属・資格は取材当時
「究極のエコカーをつくりたい」という想いがあって、大学の卒業研究は燃料電池の研究に取り組みました。そして、就職の時期を迎え、自由闊達な企業風土に惹かれてHondaを志望。しかし、就職氷河期だったこともあって希望はかなわず、いったんほかの自動車メーカーに入ったのですが、Hondaで働きたいという気持ちは薄れることがなく、一大決心をして3年後に転職しました。ただ、転職時に希望したのは四輪ではなく二輪。開発チームがよりコンパクトで、製品全体にかかわりながら自分の仕事ができる二輪に魅力を感じ始めていたのが理由でした。希望どおり二輪事業に配属され、ずっと充実感を感じながら仕事を続けてきたので、少し遠回りしたのも自分にとって決して無駄ではなかったのでしょうね。入社後、1カ月の工場実習の後はATV(All Terrain Vehicle/北米を中心に人気のレジャービークル)の開発グループに加わり、車体設計や新技術の開発を担当しました。入社前のイメージどおり、二輪の開発は重要部品ごとに担当は分かれているものの完全な分業ではなく、製品全体を見つつ、ほかの部品の開発チームとも議論しながら自分の担当業務を進めるスタイルで、このような仕事の進め方が自分には合っているとすぐ分かりました。
2008年に大型スポーツタイプモーターサイクル開発のグループに移り、現在は完成車設計のグループリーダーと、商品開発のPL(プロジェクト・リーダー)を兼任しています。耳慣れない言葉だと思いますが、完成車設計とはエンジン、足廻り、電装部品を除くすべての機能部品の設計と、完成車1台分のパッケージを最適化するもの。前後の2つのタイヤで走り・曲がり・止まるバイクにとって、さまざまな部品を組み込むパッケージやバランスの最適化は、安全性・走行性の両面において非常に大切なものとなります。
完成車設計のグループは、私のほかはみんな男性ですが、私がグループリーダーやPLを任されていることが、Hondaでは男女関係なく、適材適所で重要な役割を与えられることを示しているのではないでしょうか。商品開発を率いるPLになると、営業や生産、品質保証、購買、さらに社外のサプライヤーなど、かかわる人たちが大幅に拡がります。開発チームのメンバーと技術的な議論を戦わすだけでなく、さまざまな立場の人たちとの調整役も果たさなければなりません。最初は慣れない役割にいろいろと戸惑い、失敗もしました。ただ、立場は違ってもみんなが目指しているのは、より良い製品をお客さまにお届けすること。最初はバラバラだった意見が同じ方向にまとまり始め、ものづくりが進んでいく醍醐味を知り、二輪開発という仕事がますます好きになりました。
今は2013年に出産した娘がいます。育休中の1年間は勉強期間ができたと思って、TOEICの受験や基礎知識の復習など、自分を磨き直しました。復職した年には国家資格の技術士(※1)の一次試験を受け、2016年に二次試験も合格、晴れて技術士登録を果たしました。技術士は、資格を取ればこの業務ができるというものではありません。しかし、受験勉強を通して、知識を固めることができ、そして何より、技術士には継続して技術を磨き深める責務があることが、自分のモチベーションにもつながる最大の意義になると考えています。
今後の目標としては管理職やマネージャーなど、どういう役職に就きたいかというより、技術は世の人々の幸せのためにあるべきだと考えているので、技術によってより多くの方たちをもっとハッピーにしたい。そして、自分が納得できる二輪の仕事がしたい。開発現場の仕事がやはり一番楽しいと感じています。
※1:技術士法に基づく国家試験に合格し、登録した者に与えられる国家資格。機会、建設、化学など21の技術部門に分かれ、科学技術に関する高度の専門的応用能力を要する事項について計画・研究・設計・指導などの業務を行う。
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